- 栁 祐太朗
- 愛称“やなたろぅ”。地元福岡県で生まれ育ち、久留米高専 生物応用化学科を卒業後に篠崎へ入社した新進気鋭の26歳。分析業務を経て、2年ほど前からジンやリキュールなど商品開発を担当。化学で培った理論的な面と己が味覚による感覚的な面の双方からアプローチし、独自のセンスで個性的な世界観を展開する。
本場に負けないチェッロを。
れず、本場に負けない
チェッロを。
その生まれた背景やこだわりについて、26歳の若き開発者、栁 祐太朗が語ります。
PROFILE
日本の一流の素材を、
独自の製法で。
新たな解釈でつくりだす。
聞き慣れない人も多いかもしれませんが、「cello(チェッロ)」とは、イタリアで家庭的に親しまれているお酒で、日本でいうと梅酒のような存在です。主に食後酒として、小さなグラスでちょっといただくのがスタンダードな飲み方で、レモンの皮からつくるリモンチェッロや、フィノキエットというハーブの葉でつくるフィノキエットチェッロなどが有名です。今回、僕らのつくった「geek cello」は、日本で育てられた一流の素材と、酒造りのプロとしての技術を合わせてgeek = オタク的にこだわり抜いたお酒になっています。今後もラインナップの拡大を見据えていますが、農家さんと直接つながって、高品質な原料を使うこと。そして、常識にとらわれずに製法自体から理想のものをつくりだすこと。そのふたつを、「geek cello」の共通テーマとしてこだわっていくつもりです。
「エコファーム・アサノ」さんの
ハーブとの出会いから。
行き着いた、チェッロというテーマ。
このプロジェクトは、素材との出会いによってスタートしました。フィノキエットというのはフェンネル(茴香:ウイキョウ)の野生種で、イタリアをはじめ欧州では日本でいうヨモギくらいにありふれたハーブです。もともとジンやリキュールに合うボタニカルを探していたときに、縁あって千葉県でレストラン向けの野菜を育てている、著名な農園の「エコファーム・アサノ」さんのハーブを3種類ほどいただいたんですが、どれも香りが素晴らしくて。なかでもフィノキエットが格別だったので、その良さを最大限に活かせるお酒はなんだろうと考えた末に、チェッロにたどり着きました。イタリアではよく知られている素材である一方で、日本での知名度はとても低い。そのギャップに面白さを感じ、この最高のフィノキエットを使って本場のチェッロにも負けないようなリキュールを目指してみたいと思ったのです。「SHINDO LAB」では、日本ではもちろん、世界の方々に面白いことやっているなと感じてもらいたいと思っているので、この商品を通じて、海外の人にも「SHINDO LAB」を知っていただくきっかけをつくれたらと考えています。
本場と同じつくり方では、
面白くない。
「THE QUEST FOR THE ORIJINAL」な製法。
ゴールのない「美味しい」
に挑み続ける。
わからないほうを手探りで進む。
「geek cello」では、既存の製法にとらわれずに“美味しさ”を追求することにチャレンジしていますが、“美味しさ”という概念自体、すごく曖昧なものだと思います。同じものを口にするとしても場所や環境、体調や気分によっても感じ方はまるっきり変わるし、定義することが難しい。私の考える“美味しさ”というのは、口に入れたときに幸せを感じること。味覚と嗅覚に全意識が集中して、雑念を忘れさせること。それに尽きるかなと思いますね。100人中100人が、いつなんどき口にしても美味しいものなんて絶対に存在しませんし、味にゴールなんてありません。満足してしまうと先には進めないので、挑戦を積み重ねることが大切だと思っています。既に見えている道よりは、わからないほうを手探りで、右にも左にも行きながら進んだほうが、とれる選択肢も多いので。もちろん失敗もついて回りますが、やっぱり自分が楽しみ尽くした先に、納得できる美味しさはあるんじゃないかと思っています。もともと自分自身、幼い頃から食への興味が強く、なんでも面白そうな食材があったら買ってみて調理していたのですが、そうした探究心が今に生きている気がします。それこそ今回のチェッロも、あえて今までなかったような製法を考え、ゼロからトライしていますし。お酒造りの歴史やセオリーを踏まえたうえで、新たな手法をどんどん探っていく姿勢は大事にしていきたいです。
geek cello~茴香~
突き抜けた香りのインパクト。
じる、突き抜けた香りの
インパクト。
西中州本店の料理長をつとめる前田さんに完成したばかりの「geek cello」を楽しんでいただき、
おすすめの料理をご考案いただきました。
PROFILE
- 前田 翔
- 宮崎県出身、宮崎で高校の調理科を卒業の後、18歳で大阪へ。日本料理、関西寿司を学び株式会社ダイヤモンドダイニング、美食米門で26歳で料理長を務める。29歳で福岡へ移住し、OBU company、博多ほたると出会い只今入社11か月で料理長を務めさせて頂いております。
これまで飲んだことのない、
フィノキエットの特徴的な風味。
印象はいかがでしたか?
和食でも食前酒や食後酒として梅酒を飲んだりしますが、似ているようでぜんぜん違う、インパクトの強さがありますね。まずはしっかりとした甘みを感じられ、そのすぐ後にフィノキエットの香りが迫ってくるという印象です。これまであまり飲んだことのない、かなり特徴的なお酒ですね。葉を使ったチェッロのほうは、フィノキエットの香りをダイレクトに楽しむことができて、一方で花を使ったほうはもう少し華やかさがあり、想像以上に風味の違いがはっきりしているなと思いました。和食ではチェッロを提供することはほぼないですし、そもそもフィノキエットという素材自体も馴染みが薄いので新鮮な体験でした。
楽しみ方をするのが良さそうですか?
もちろん、食前酒や食後酒として楽しむのも良いと思いますが、食中酒としてソーダで割るのもいいですね。比較的、若い方に好まれる気がするので、少しだけ柑橘を搾ってサワーのようにしてみると飲みやすくなりそうです。あとはこのチェッロをシロップとして、アイスにかけてみるのも面白そうだと感じましたね。甘みが強く、ハーブの香りも豊かなので、調味料として使うのもひとつのアレンジとしては良いかもしれません。
和食とチェッロ。
その意外な組み合わせ。
どんなメニューが良いでしょうか?
今回、事前にリクエストをいただいて、一品考えてみました。名前はシンプルに「チェッロのためのヤリイカ」です。カボスとすだちの輪切りを敷いて、湯ぶりしたてのヤリイカを乗せ、最後にドライトマトのお出汁をかけて仕上げました。あくまでもチェッロを主役にしたいと思い、たんぱくな剣先イカをメインにしています。
お出汁はドライトマトとイカのゲソを焼いたものを煮出して、白ワインも少し加えています。チェッロの甘みが強いので、料理は酸味を利かせたほうが良いかと思い、トマトの出汁と、カボス・すだちで爽やかさを感じられるようにしました。こういったお酒に和食を合わせるのは初挑戦だったので、シンプルに難しかったですね笑。このチェッロは香りも甘さもかなり特徴的で、これによってコースの全体的な方向性が決まってしまうなと。それぐらい、パンチのある味わいだったので、うまく料理とのバランスがとれるようにけっこう悩みました。
「愛とありがとう」の
輪を広げる
料理とサービスで応える。
目指していますか?
僕たちは日本一の居酒屋を目指していますが、特に福岡は激戦区で常にお客様に選ばれ続けるお店でなくてはいけません。お店の理念として「愛とありがとう」という言葉があるのですが、しっかりとお客様に愛とありがとうを伝え、さらにその輪が生産者様など関係するすべての人に広がっていくことを目指しています。福岡はいろいろな食材に恵まれ、料理人にとっては素晴らしい環境が揃っていますが、おいしい料理を追求するのと同じくらい、気持ちの面を大切にお客様と向き合っているつもりです。だからこそ、提供するお酒に関しても、どれだけ想いがこもっているかは重要にしたいポイントです。それこそ今回のチェッロに関しても、事前に開発の想いを聞いたり、いざ飲んでみたりして、開発をご担当された栁さんのオタク的なこだわりをとても感じました。こういうお酒に出会うと、僕たち料理人も「これをどう活かそうか?」と気持ちが奮いますし、こだわりに応えられるようにベストな料理をつくろうと、いっそうの励みになる気がします。
geek cello~茴香~
- 博多ほたる 西中洲本店
- 居酒屋以上割烹未満な、西中洲の裏路地にある大人の隠れ家。特注の焼き台を使用して糸島の契約農家から仕入れる藁で焼き上げたマグロの藁焼きや、特製のほたる土鍋ご飯など、名物多数。
- 住所
- 〒810-0002
福岡県福岡市中央区西中洲5-9
- 電話番号
- 0927323277
- 営業時間
- 17時-24時(LO 23時)/ 日曜営業 / 不定休